美容師として石鹸シャンプーをオススメできない理由

2018年1月15日

 

質問

石鹸シャンプーって良いんですか?

 

答え

お勧めできません!

 

 

今回は石鹸シャンプーがお勧めできない理由

 

についてお話したいと思います。

 

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石鹸シャンプーのよく聞くデメリット

まず石鹸シャンプーを使ってみたという方のお話を聞いてみると

 

  • ギシギシした
  • フケっぽくなった
  • カラーの褪色が早くなった

 

などデメリットの方がよく聞きます。

 

ちなみに同業者の意見を聞いてみても大体同じ答えが返ってきます。

 

 

石鹸シャンプーしてる人ってなんかフケっぽいよね

 

なんかギシギシで扱いづらい・・・

 

カラーの褪色が早い・・・

 

などなど聞くと大体同じ答えが返ってきます。

 

 

 

デメリットを感じていてもなぜ使いつづける?

 

そんなデメリットを感じていても

 

ずっと使い続ける方がいらっしゃいます。

 

 

その理由としては

 

一般のシャンプーだと防腐剤や界面活性剤など肌に悪そう

 

または

 

使い始め○ヶ月は髪がきしむけど、使い続ければだんだんサラサラになる・・・

 

 

とどこか(大体はネット)で読んだり聞いたりしたことを信じているからです。

 

 

 

ところでみなさんの信じているその「情報」って本当に正しいものなのでしょうか?

 

使い続ければ本当に良くなるんでしょうか?

 

 

 

100%天然だから安心・・・

 

キシキシなのは今まで使っていたシャンプーのせい・・・

 

我慢すればだんだんサラサラになる・・・

 

 

 

きちんとした知識がなければ結局、

 

「ただ売りたい人」に騙されてしまうわけです。

 

 

石鹸シャンプーで髪がギシギシになる理由

石鹸シャンプーは弱アルカリ性です。

 

使用することによって

 

髪がアルカリ性に傾くのでキューティクルが開きます。

 

キューティクルが開いてしまうと

 

・ギシギシになりやすくなる

・ダメージしやすくなる

 

などの弊害が出てきてしまいます。

 

※後述しますが、髪はアルカリ性になるとキューティクル同士を接着している

CMCβ層を破壊してしまうことも知られています。

イラストで見てみましょう。

 

健康な髪の毛はキューティクルが引き締まった状態です↓

キューティクルが閉じた状態

これがアルカリ性に傾くと・・・

キューティクルが開いた状態

髪が膨潤(濡れて膨らむ)してキューティクルが開きます。

 

なんか引っかかりやすそうですよね?

 

 

実際、このキューティクルが開いた状態で髪の毛同士がこすれると、

 

ギシギシしてしまうわけです。

 

 

また、ギシギシでクシ通りが悪いからと

 

ブラシで強引にとかしてしまいませんか?

 

乱暴なブラッシング

 

実はキューティクルが開いた状態というのは

 

髪が非常に脆い状態とも言えます。

 

 

乱暴にブラッシングをすると

 

キューティクルが剥がれてしまいます!

 

弱った状態での摩擦によってどんどん髪が傷んでしまうのです。

 

 

 

ギシギシになるもう一つの原因は

 

石鹸カスによるきしみです。

 

開いたキューティクルに石鹸カスが詰まる

 

ことが原因できしむこともあります。

 

 

 

まとめると

 

髪がアルカリ性に傾くとキューティクルが開き、ギシギシになる

 

また石鹸カスが残り、ギシギシになる

 

さらに、ギシギシになることで摩擦などでダメージしやすくなってしまう

 

ということです。

 

 

石鹸シャンプーの性質から言ってもギシギシになるのは必然なのです。

 

 

カラーの褪色が早くなる?

世間シャンプーを使うとカラーの褪色が早い

 

と感じる方が多いようです。

 

美容師としても実際に

 

カラーの褪色が早くなる

 

というのは特に実感します。

 

その原因はギシギシになる理由と同じで

 

石鹸シャンプーを使うことによって

 

キューティクルが開きっぱなしになるからです。

 

 

石鹸シャンプーを使うと髪はアルカリ性に傾きます。

 

アルカリ性になるとキューティクルが開きます。

キューティクルという名の「ふた」が開けば

 

染料やたんぱく質などの中身が出て行くのは必然です↓

染料が出て行ってしまったイラスト

 

これがヘアカラーの褪色が早くなる原因です。

 

キューティクルは髪の内部の大事なたんぱく質、染料などが

 

漏れていかないように守ってくれているわけですが

 

アルカリ性の状態が続くと

 

髪の中身が抜けてスカスカになり、パサついてきてしまうのはもちろん

 

ヘアカラーの褪色も早くなってしまうのです。

 

 

 

フケっぽくなる理由

 

石鹸シャンプーをしているという方の髪をよく見てみると

 

フケっぽく、白い粉が所々に見られることが多いです。

 

これは石鹸カスが残っているために起こります。

 

 

石鹸中の脂肪酸の一部が水道水中の金属イオンと反応して

 

金属石鹸になってしまうと石鹸カスになります。

 

もう少し詳しく言うと

 

脂肪酸と水道水中のマグネシウム、カルシウムなどが反応して

 

脂肪酸マグネシウム、脂肪酸カルシウムなどになってしまうのです。

 

これが石鹸カスの正体です。

 

この石鹸カスは開いたキューティクルの間にも挟まってしまうために

 

一度できてしまうとなかなか落とせません。

 

 

石鹸カスを発生させないためにはどうしたら良いのでしょうか?

 

 

そもそも石鹸カス自体は

 

水道水中に含まれる金属イオンに反応してできるわけですから

 

軟水だったら発生しません。

 

軟水でシャワーを浴びれば良いと思うのですが

 

軟水器がある家庭は少ないと思うし、手軽には導入できないでしょう。

 

基本的に石鹸シャンプーを使うと

 

どうしてもフケっぽくなってしまうのです。

 

 

また、仮に軟水器を導入できたとしても

 

軟水中になると石鹸の洗浄力はすごく強くなります。

 

ラウリル硫酸ナトリウムと同じくらいの洗浄力を発揮するので

 

脱脂力が強すぎて結局、さらにギシギシになります。

 

 

クエン酸リンスで中和すれば良いんじゃない?

クエン酸リンスを使って

 

弱酸性になるとキューティクルが閉じます。

 

なのでサラサラになる方もいるでしょう。

 

ですが、サラサラにならない方もいます。

 

 

 

クエン酸の濃度が低すぎると

 

中和しきれず、キシキシ感が残ります。

 

 

逆にクエン酸の濃度が高すぎてphが酸性に傾きすぎると

 

収斂しすぎて(キューティクルが閉まりすぎて)

 

それはそれで実は髪がきしみやすくなります。

 

 

 

仮に濃度の調整がうまくいったところで

 

素人が自宅で髪全体に均等に浸透させるのは難しいです。

 

 

 

じゃあ頑張ってきちんと中和できれば良いの?

 

と思うかもしれませんが

 

 

仮にうまく中和ができたとします。

 

 

そうすると毎日のように

 

①石けんシャンプーでキューティクルを開く

 

②クエン酸リンスでキューティクルを閉じる

 

これを延々と繰り返すことになりますよね?

 

 

ちょっと想像してみて欲しいのですが・・・

 

普通に考えて

 

キューティクルが過度に開いたり閉じたりを何度も繰り返すこと自体が負担

 

と思いませんか?

 

 

 

石鹸シャンプーのphは9〜10くらい(アルカリ性)

 

クエン酸のphは2〜3くらい(酸性)

 

です。

 

一方

 

髪が最も安定するのはphは4.5~5.5くらい(弱酸性)

 

と言われています。

 

 

パーマ剤のphが8〜9くらい

ヘアカラーのphが10〜12くらい

 

であることを考えると

 

phが9〜10くらいの石鹸水が毎日髪に触れるというのは

 

かなりの負担を髪に強いている

 

ということが良くわかると思います。

 

 

 

ヘアカラーを繰り返すと髪が痛むのは周知の事実だと思いますが・・・

 

髪が弱アルカリ性になることで

 

キューティクル同士を接着しているCMCβ層が溶解してしまう

 

という事実がわかっています。

 

アルカリに触れる回数が多ければ多いほど

 

毛髪を保護しているキューティクルがどんどん剥がれやすくなってしまうのです。

 

ちょっとした摩擦でもダメージしてしまうようになります。

 

 

このように・・・

 

アルカリ性になったら弱酸性に戻せば良いという話ではありません。

 

石鹸シャンプーは使い続けることで髪に確実にダメージを与えて行ってしまうものなのです。

 

 

 

 

※phとは水素イオン濃度指数のことです。

phはピーエッチ、ピーエイチ、またはペーハーと読みます。

水素イオン濃度指数は1〜14まであり、

 

1に近づくほどより酸性

7が中性

14に近づくほどアルカリ性

になります。

 

髪とphの関係についてはこちらを参考にさせていただきました↓

https://www.demi.nicca.co.jp/salonsupport/beauty1_detail_17.html

 

 

使い続ければ使用感がよくなるという嘘

 

今まで使っていたシャンプーに入っている化学物質が原因で

 

石鹸シャンプーを使って最初のうちは使用感が悪くなることがあります。

 

でも我慢して使い続ければサラサラになります。

 

 

という趣旨のことを謳っているサイトがあるのですが・・・

 

これまで見てきたように

 

使用感が悪いのは紛れもなく石鹸シャンプーが悪いからです!

 

 

使い続ければ良くなりますというのは

 

あらかじめ出るであろうクレームを

 

他の「化学物質」のせいにして

 

自社の製品を売り込むかなりずるい手法です。

 

 

それさえ信じてくれれば、

 

たとえ使用感が悪くても

 

消費者はずっと使い続けてくれるのですから・・・

 

 

皆さんはメーカーの印象操作にだまされないようにしましょう。

 

 

石鹸も界面活性剤であり、化学物質です

 

界面活性剤が良くないって聞いたから・・・

 

これもよくある誤解です。

 

界面活性剤不使用の石鹸なるものもありますが・・・

 

石鹸は界面活性剤です。

 

界面活性剤は水と空気、水と油など

 

本来混ざらないもの同士を混ぜ合わせるためにあります。

 

界面活性剤で本来混ざらないはずの水と油を混ぜて汚れを浮かし、

 

それによって汚れが落としているわけです。

 

石鹸は昔からある代表的な界面活性剤なわけです。

 

 

界面活性剤不使用の石鹸というのは

 

「合成界面活性剤」が入っていないということを言いたいのでしょうが

 

石鹸も合成界面活性剤も

 

洗剤であることには変わりません。

 

 

合成界面活性剤が悪者にされがちですが

 

純粋に比較すれば

 

石鹸が弱アルカリ性であることは

 

(特に髪にとっては)デメリットでしかありません。

 

 

 

また、天然石鹸なるものもありますが

 

石鹸は化学物質です。

 

おそらく無添加だとか、生分解性が高いとか

 

そこらへんとごっちゃになっていると思うのですが・・・

 

石鹸は人が化学反応を起こして作ったもので天然ではありません。

 

ざっくり作り方を説明すると・・・

 

高圧釜で油脂を脂肪酸とグリセリンに分解します。

 

できた脂肪酸と水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を混ぜると

 

中和という化学反応が起きて石鹸ができます。

 

石鹸も立派な化学物質なわけです。

 

 

 

 

まぁ、仮に100%天然の成分だけのシャンプーがあったとしても

 

実は天然だから安全と考えること自体が間違えです。

 

また、無添加と言われるものも

 

何を持って無添加とするかはかなり曖昧なものです。

 

 

言い出したらきりがないので

 

これはまた別の機会にお話しします。

 

 

石鹸は界面活性剤であり、化学物質です。

 

ちょっと誤解が多いようなので書いておきました。

 

 

 

結論:やっぱり石鹸シャンプーはお勧めできない!

今まで見てきたように石鹸シャンプーを使うと

 

  • phの問題
  • 石鹸カスの問題

 

が必ず出てきます。

 

 

パーマやヘアカラーと同じくらいのphのものに毎日触れる時点で

 

CMCβ層というキューティクル同士を接着している成分が破壊されるため

 

髪を保護しているキューティクルがどんどんと剥がれやすくなっていきます。

 

 

また、石鹸カスは軟水器を使えば抑えられますが

 

軟水中だと石鹸の洗浄力が強くなりすぎて髪がギシギシパサパサになります。

 

 

さらにこのギシギシの状態で強引にクシを通せば

 

キューティクルはどんどん剥がれてしまいます。

 

 

石鹸シャンプーを使い続ければ

 

どんどん髪が傷んでいくことは理屈からしても明白なのです。

 

 

もしまだ使っている方がいたら、明日から

 

「石鹸シャンプー以外」のものを使用することをお勧めします。

 

 

極度の敏感肌でどれも合わない場合は

 

食生活や生活習慣を改めた上で

 

少しずつ湯シャンに切り替えることもオススメです。

 

 

今まで石鹸シャンプーを使っていた方は是非ご参考にしてみてください。

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