HELIOS-44-2 58mm/f2で撮った女性ポートレートの作例
僕は美容師ですが、ヘアメイクとフォトグラファーの仕事もたまにやっています。
最初は趣味で色々撮っていたのですが、気づいたら仕事として依頼が来るまでになりました。
カメラ友達の影響もあり、僕もいろんなカメラのレンズを持っています。
最近、新たにヴィンテージレンズを入手しました。
このレンズでポートレートを撮影したので、レンズのレビューを書いてみようと思います。
入手したのは…
KMZ製:HELIOS-44-2 58mm/f2 (中期型:1970年〜1983年)
絞り羽根枚数:8枚
旧ソ連製のレンズです。
中期型のレンズを手にいれました。
helios 44-2の第2世代のレンズが注目されている
なんでヴィンテージレンズなんかに手を出したのかと言いますと…
実はこのHELIOS 44-2を元にリハウジングした第二世代のレンズが、THE BATMAN(2022)を筆頭に映画でも使用されていて話題になったからです。
実は映画を撮影するようなクリエイターにも注目されているレンズなのです。
残念なことにこの第二世代のレンズはウクライナ製なので、現在は入手困難になっています。
一方、オリジナルのヴィンテージレンズは割と手軽に入手することができるので、オークションで購入してみました。
ぐるぐるボケが楽しめるレンズ
いわゆるぐるぐるボケと言われる、渦を巻いたようなボケが特徴的なレンズになります。
背景のボケに注目してみましょう。
よく見ると背景のボケが少し渦を巻いて見えます。
これがいわゆるぐるぐるボケと言われるものです。
オールドレンズなので個体差はあると思いますが、
- f値は開放
- 被写体とカメラの距離が1.5mから2m前後
の時に最もこのぐるぐるボケが出る印象です。
写りすぎないのが良い
現代のレンズは解像度がものすごく高いです。
普通に撮ると毛穴までくっきり写ります。
一方、このHelios44-2はヴィンテージレンズなのであまり解像度は高くなくマイルドな写りをしてくれます。
F値開放で撮影すると、四隅の解像度が落ちて、印象的な絵が撮れます。
特に明るい場所で撮影すると、全体的にふわっとフレアがかかったような写りをします。
解像度があまり高くないので、良い意味であまり肌の質感が写りすぎません。
女性を撮るにはとても良いレンズだと思います。
ヴィンテージレンズの難しさ
一番の難しさはピント合わせでしょう。
昔のレンズなので自動でピントを合わせてはくれません。
マニュアルフォーカスで動く被写体にピントを合わせるのは結構大変です。
基本的にはマニュアルで撮影することになります。
- F値やシャッタースピード、ISOを事前に調整
- マニュアルでピントを合わせる。
- シャッターを切る
オールドレンズを使うときはこの3つをうまく調整しながら、撮る必要があります。
設定に時間がかかるとシャッターチャンスを逃すリスクもあるため、カメラの設定に慣れている人向けのレンズかもしれません。
helios44-2を現代のカメラで使用するには?
オールドレンズのため、そのまま現代のミラーレス一眼レフカメラに使用することはできません。
カメラのメーカーによってマウントが違います。
僕の使用しているLUMIXはLマウントです。
helios44-はM42マウントなのでこのままだと使用することができません。
そこで登場するのがマウントアダプターです。
K&F Concept マウントアダプター KF-42L(M42マウントレンズ → Lマウント変換)
M42マウントをLマウントに変換するものです。
このマウントアダプターを使用してレンズを装着します。
こんな感じでカメラとレンズをマウントアダプターで連結します。
まずはHeliosとマウントアダプターを時計回りに捻って装着します。
それをそのままカメラに装着すると撮影できるようになります。
今回は声優をしているお客様に被写体になって頂き、ポートレートを撮らせていただきました。
日中に外でポートレートを撮るコツ
直射日光が真上から直接当たるような日中は撮影が難しいです。
少し曇りの日か太陽の位置が建物で隠れる場所が撮影しやすいと僕は思います。
今回は周りに建物が多い場所で撮影をしました。
モデルさんの左にはガラス張りの建物があり、右側には白い壁の建物があります。
日中ですがちょうど建物で太陽が隠れるので、光が強く当たりすぎることもなく、撮影はしやすい環境でした。
左斜め上から光が降ってくるような環境です。
そのため、モデルさんの顔が明るく撮れるように少し上を向いてもらいました。
あまり下を向くと顔が暗く写ってしまうからです。
右側の大きな白い壁がレフ板のように光を反射してくれるので、うまく利用することにしました。
また、植木と植木の間に立ってもらうことで構図に立体感を出すことにしました。
この植木が前ボケと背景のボケを作り、作品がソフトな印象になります。
- 顔に光がどのように当たるか?
- どのような構図で撮るのか?
を考えて撮ると納得のいく写真が撮れると思います。
ちょっとピントが甘い写真もありますが、綺麗に撮れたと思います。
お客様にも写真を気に入っていただけました。
helios 44-2をポートレートで使ってみた感想
ぐるぐるボケで有名なレンズですが、イメージしていたよりはぐるぐるボケは出ませんでした。
ヴィンテージレンズはある程度カメラをマニュアル操作で撮れる人向けだと思います。
ISOやシャッタースピード、F値を操作して最適な露出をマニュアルで設定できる人には、面白いレンズと言えるでしょう。
58mm f2と明るいレンズなので、被写体に近寄るとかなり背景がボケます。
そのため、ピントを合わせ続けるのが難しいです。
モデルさんとの距離感が少しでもズレるとピントが外れてしまいます。
一度ピントがあったら距離を保ったまま撮影をする必要があるので、モデルさんにはあまり動かないでもらう必要があるかもしれませんね。
宣材写真などのようにビシッとピントを合わせる必要があるような撮影には使いずらいかな…
そのような大事な仕事の時には別のレンズを使用します。
このレンズはどちらかというと日常のスナップ写真や「ふわっと女性を美しく撮るような作品作り」にはとても合っているかと思います。
ちょっとピントが甘くても、それはそれで味のある写真が撮れるからです。
オールドレンズはそんなに高くなく、個性的な写りをするものが多いです。
最新の高価なレンズで撮影するよりも、面白い絵を撮ることができて楽しいと思います。
helios44-2は58mmとポートレートを撮りやすい焦点距離でもあります。
人物をよく撮る人には、面白いレンズかもしれません。
ヘアメイクや撮影の仕事もサロンワークの合間に承っております。
ヘアメイクや撮影のご依頼は、LINEまたはメールにてご相談いただけますと幸いです。